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都市ガスとプロパンガス、料金どっちが高い?違いや見分け方、メリット・デメリットを解説

都市ガスとプロパンガス、料金どっちが高い?違いや見分け方、メリット・デメリットを解説

暮らしのなかでいつも何気なく使用しているガスには、都市ガスとプロパンガスの2種類があります。しかし、都市ガスとプロパンガスの具体的な違いについてはわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、都市ガスとプロパンガスを比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。また、両者の見分け方やガス料金を安くする方法、引っ越しの際に必要なガスの手続きについても紹介します。

都市ガスとプロパンガスのどちらを利用するか迷っているという方は、ぜひ参考にしてください。

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都市ガスとプロパンガスの違いとは?

都市ガスとプロパンガスは、価格、供給方法、原料・成分、ガスの重さなどに違いがあります。

 

都市ガス

プロパンガス

原料・成分

液化天然ガス(LNG

液化石油ガス(LPG

供給方法

地下を通るガス導管

各物件に設置してあるガスボンベ

重さ

空気より軽い

空気より重い

熱量

小さい(10,750Kcal)

大きい(24,000Kcal)

供給エリア

都市部のみ

全国どこでも

災害時の復旧

時間がかかる

早い

料金

プロパンガスに比べて安い

・都市ガスより高い

・ガス会社によって料金の差が大きい

 

それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。

都市ガスの方がプロパンガスより安価

一般的に都市ガスのほうがプロパンガスよりも料金が安い傾向にあります。

都市ガスは、20174月の都市ガスの自由化までは、政府の認可を受けた規制料金をもとにガスの価格を設定していました。20174月の都市ガスの自由化をきっかけに、ガス会社が自由に料金を設定できるようになったものの、ガス会社ごとの価格の幅がそこまで広くなく、全体的に安価な傾向があります。

一方プロパンガスは、以前より会社ごとに自由に価格を設定できるようになっており、ガス会社や地域によって価格の差が大きく、高額になるケースがあります。

また、ボンベの輸送コストや人件費が抑えられる点も、都市ガスの方が安価になる理由です。

都市ガスとプロパンガスの料金システムについての詳細は後述します。

供給方法が違う

都市ガスは地下に埋められたガス導管を通ってガスを供給していますが、プロパンガスは各家庭、物件にガスボンベを配置して供給しています。そのため、プロパンガスでは定期的にガスボンベの交換が必要となるなど、ガスの供給方法に大きな違いがあります。

原料・成分が違う

都市ガスはメタンを中心とした液化天然ガス(LNG)を使用していますが、プロパンガスはプロパンやブタンを主成分とした液化石油ガス(LPG)を使用しています。引っ越しなどで物件情報などをチェックした際にLPガスと記載されている場合は、プロパンガスを意味しています。

ガスの重さが違う

都市ガスは空気よりも軽いため、ガス漏れ時は窓を開けることでガスを外に出しやすくなります。一方、プロパンガスは正反対で、空気よりも重いです。ガス漏れすると部屋の床面にガスがたまるため、ほうきなどで掃いて外に出す必要が出てくるのが特徴です。

都市ガスとプロパンガスの見分け方

都市ガスとプロパンガスのどちらを使用しているかは、対象となる物件の外観または室内を確認することで簡単に見分けられます。

物件の外観を見る

物件の外観を見る場合、敷地内にガスボンベが設置されているか確認してください。ガスボンベが設置されていない場合は都市ガス、設置されている場合はプロパンガスを使用しています。

物件の内側を見る

物件の内側を見る場合は、ガスコンロの表示とガス警報器の位置を確認してください。 ガスコンロにはシールが貼られており、両者でその内容が異なります。都市ガスは「12A」「13A」「都市ガス用」、プロパンガスの場合は「LPG」「プロパンガス用」などと表記されています。ガス警報器は、両者のガスの重さの違いにより設置場所が異なります。都市ガスは空気よりも軽いため「壁の上部」、プロパンガスは空気よりも重いため「壁の下部」をそれぞれ確認してください。

都市ガスのメリット・デメリット

都市ガスとプロパンガスの違いについて順番にみていきましたが、それぞれどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここでは、都市ガスを利用するメリット・デメリットを紹介します。

メリット1. 料金が安い

都市ガスのメリットは、ガス料金が比較的安い点です。都市ガスはかつて、原価を基準としたうえで報酬率を上乗せして価格を決める「総括原価方式」で料金計算が行われていました。前述のとおり、2017年のガス自由化によって自由に料金設定ができるようになったものの、ガス会社ごとの年間の使用料金にそれほど大きな差はありません。

なお、現在の都市ガスは、基本料金+従量料金(単価×ガス使用量)で請求金額が決まります。

また、プロパンガスと違って人件費や配送費などのコストが抑えられることも料金が安い理由のひとつです。地中の導管を通してガスを届けるため、ボンベの輸送や点検などの人件費や配送費がかからず、結果的に利用料金が安くなります。

メリット2. 環境への負荷が小さい

都市ガスの原料はメタンが主成分である液化天然ガス(LNG)です。天然ガスは、石油や石炭に比べて、燃焼後の二酸化炭素や窒素酸化物の排出量が少なく、環境にやさしいエネルギーです。また、硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染の原因になる有害物質の排出量が少ないのが特徴です。

デメリット1. 災害時の復旧に時間がかかる

都市ガスは地下の導管を通してガスを供給しているため、災害時にガス管が破裂した場合、復旧に時間がかかります。エリアごとにガス管を検査して復旧させる必要があり、点検や工事が大掛かりになるからです。大規模災害の場合には2か月程度復旧に時間がかかったケースもあり、災害後の復旧スピードには課題があります。

デメリット2. 提供エリアが限られている

都市ガスが利用できるエリアが限られているのもデメリットのひとつです。都市ガスは基本的に都市部の人が多く住むエリアに提供されており、郊外や地方では普及が進んでいません。都市ガスの導管の工事には莫大なコストがかかるため、人の少ない地域に設置すると採算がとれないためです。たとえ都市ガスに切り替えたくても、そもそも都市ガスが通っていない地域では選ぶことができません。

プロパンガスのメリット・デメリット

都市ガスのメリット・デメリットについて順番に解説しましたが、ここからは、プロパンガスを利用するメリット・デメリットについて説明します。

メリット1. 災害時の復旧が早い

プロパンガスのメリットのひとつとして、災害に強いという点があります。プロパンガスは各家庭に設置されたガスボンベさえあれば使用できて、大掛かりな工事を必要としません。そのため、災害が起こっても即座に復旧しやすいというメリットがあります。オール電化であれば電力の復旧まで待たなければいけませんが、プロパンガスの場合はボンベを交換すれば速やかにガスの利用が再開できるため、復旧スピードが早くなっています。

メリット2. 全国どこでも利用できる

プロパンガスは利用可能エリアを気にせずに、全国どの地域でも使える点もメリットです。設置したガスボンベから直接ガスを引くため、導入にあたっての大規模な工事が必要ありません。導入時の工事費用を含む初期費用は毎月のガス利用金額に上乗せされるため、支払いもひとつにまとめられていて簡単です。

デメリット1. 料金が高い

デメリットのひとつは、都市ガスと比較して、ガス料金が高めな点にあります。プロパンガスではガス会社が自由にガスの使用料金を設定できるため、会社によって使用料金に差があります。料金の計算方法は3種類です。

二部料金制…基本料金と従量料金の合計で決まる

最低責任利用料金制…一定の利用料まで料金が固定され、それを上回った場合には従量料金となる

三部料金制…基本料金+設備利用料金+従量料金で計算される

プロパンガスはガス会社が自由に料金を設定できることから、ホームページ上にも料金が載っておらず、見積もりを取らないと正確な料金がわからないこともあります。

同じ使用量でも選んだガス会社によって料金が全く異なるケースもありますので、プロパンガスを選ぶ際には、直接ガス会社に問い合わせて料金を確認するとよいでしょう。

デメリット2. 環境への負荷が大きい

プロパンガスの燃料は、液化石油ガス(LPG)です。プロパンガスのほうが、燃焼時の二酸化炭素の排出量が都市ガスに比べて多くなります。石炭や石油を燃やしたときと比較すると、プロパンガスを燃やしたときの二酸化炭素の排出量は少ないですが、より環境へのクリーンさを求める場合には、都市ガスを選択したほうがよいでしょう。

料金を安くするなら都市ガスがおすすめ!

ガス料金を安くしたい場合には、都市ガスを利用するのがおすすめです。もし、プロパンガスを利用していてガス代が気になるときには、都市ガスに変更することでガス料金を安く抑えられることがあります。

ただし、都市ガスは人口の多い都市部でのみしか利用できないため、お住いの地域で都市ガスが対応しているかを必ずご確認ください。また、プロパンガスから都市ガスへの変更は、基本的に賃貸物件のオーナーか、ご自身の持ち家でなければできません。賃貸物件のマンションやアパートにお住いの場合には、住人が自由に変更できないことが多いです。ガスメーターが物件ごとに付いていない場合や、利用するガス会社が契約で決められている場合などが考えられますのでご注意ください。

なお、プロパンガスと都市ガスのおおよその料金比較は以下のとおりです。都市ガスが供給されているエリアにお住まいの場合、または供給エリアへの引っ越しを検討されている場合には、ぜひ都市ガスの利用を検討してみてくださいね。

【一般家庭における都市ガス/プロパンガスの料金目安】

 

8月

12月

都市ガス*1

6,000

6,700

プロパンガス*2

9,000

9,000

1:東京ガスHPに記載の一般家庭の平均都市ガス利用量(30㎥/月)と20228月・202212月の一般契約料金から算出

東京ガス「一般家庭での平均使用量が知りたい。

東京ガス「ガス料金表(東京地区等)

2:日本生活協同組合連合会「我が家の電気・ガス料金しらべ」の平均使用量(11/月)と一般財団法人日本エネルギー経済研究所・石油情報センターに記載の20228月・12月の全国平均単価より算出

日本生活協同組合連合会「我が家の電気・ガス料金しらべ

石油情報センター「一般小売価格

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プロパンガスから都市ガスに変更できる?開通費用は?

都市ガスの供給のない地域では、都市ガスは使用できません。供給エリアをあらかじめ確認しておきましょう。自宅の近くまで都市ガスの配管が通っている場合には、別途配管工事を行うことで都市ガスへの切り替えが可能です。変更の大まかな流れとしては、ガス会社に連絡して、都市ガスへの切り替え可能かどうか確認したのち、見積もりを取得して工事を行います。

(プロパンガスから都市ガスへ変更する際のおおまかな手順)

1. 都市ガス会社の選択

2. 現地確認と見積もり取得

3. 都市ガス会社と契約、工事日程の調整

4. プロパンガス会社の解約

5. ガス管の引き込み工事

新しい配管を取り付ける工事費用は、都市ガスの配管と自宅までの距離によって変わります。大体1㎡あたり10,000円前後かかるため、1020万程度が相場です。

建物の立地や周辺の状況、ガス会社などにより工事費用は異なりますので、見積もりを出してもらって費用を確認するようにしてください。

また、都市ガスからプロパンガスへ変更になる場合は、ガス器具の出力変更もあわせて必要になります。給湯器やガスコンロなど、対応するガスの種類が異なる器具は使用できなくなってしまうので注意しましょう。出力変更をするためには、各ガス機器のメーカーに問い合わせをして、部品の取り付けをしてもらいます。必ずしも今使っているガス機器すべてで出力変更ができるとは限りませんので、変更できない場合は別途買い替えが必要になります。

都市ガスが使えない地域でガス料金を抑えるには?

プロパンガスは2017年に自由化になった都市ガスとは違い、古くから自由料金でした。そのため、販売店によって料金設定はさまざまです。販売店を変えるだけで倍近く料金が変わるケースもあるので、複数の販売店を見て比較検討することが大切です。インターネットで業者比較サービスや相談サービスを利用すれば、料金やサポート体制などが簡単に調べられます。

また、プロパンガスの場合にはホームページに料金が載っていないこともありますので、複数社気になるガス会社がある場合には、電話で問い合わせて見積もりをもらいましょう。地域の相場やサポート体制を把握することで、お住いの地域と条件に合ったプロパンガス会社がみつかります。

なお、アパートやマンションではすでに契約しているガス会社の関係から、世帯ごとにガス会社を変更することはできません。引っ越し後のガス代が心配な場合には、引っ越し先検討の段階で、その物件が利用している販売店はどこなのか確認する必要があります。

「引越れんらく帳」を使えばガス・電気・水道の引っ越し手続きが一括完了!

ここでは、都市ガスとプロパンガスの違いや料金、変更について解説しました。都市ガスとプロパンガスではそれぞれにメリット・デメリットがあります。料金も利用するガス会社によって異なりますので、比較検討してお住いの地域や希望に合ったガスを選択してみてくださいね。

また引っ越し時は、ガスの手続きだけではなく、さまざまなライフラインの変更手続きが必要になります。引っ越し準備期間は荷造りや挨拶周りなどで忙しくなるため、すべての住所変更手続きがまとめてできれば、負担がずいぶん軽減されますよね。

そんなときに便利なのが、引っ越しの手続きを効率的に進められるサービス「引越れんらく帳」です。「引越れんらく帳」では、ガスや水道、電気などのライフラインの引っ越し手続きを一回でまとめて行えます。申し込みできる手続きはライフラインのほかにも、放送(NHK)、固定電話、新聞、通販などがあります。一回の情報入力で複数の手続きをまとめて完了することができるため、同じ情報を何度も入力する手間が省けます。また、「引越れんらく帳」のサービスは24時間対応しているため、時間を問わずに空いた時間に簡単に手続きができるのもメリットです。

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