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単身赴任では住民票を移すべき?そのままで大丈夫?異動のメリット・デメリットも

単身赴任では住民票を移すべき?そのままで大丈夫?異動のメリット・デメリットも

単身赴任が決まったらすべきことはたくさんありますが、“住民票の異動”も重要な課題です。どんなケースであれば異動させたほうがよいのか、反対に異動させなくても構わないのはどんなケースかを知っておくと、辞令が下りたとき迷わずに済むかもしれません。こちらでは、単身赴任における住民票異動の必要性と、メリット・デメリットについてご説明します。単身赴任で引っ越し予定の方はぜひご一読ください。

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単身赴任するときに住民票の異動は必要?

単身赴任をするとき、住民票の異動は必要なのでしょうか。また、どんなケースであれば異動させたほうがよいのでしょうか。ご自身の状況に当てはまるものをご確認ください。

会社勤めのサラリーマンは、会社から単身赴任を命じられるケースがあります。単身赴任とはその名のとおり、家族と離れて一人で任地に赴任する状況を指します。なかには担当者がマンション・アパートなどの部屋を選定して借りてくれる会社もありますが、場合によっては一人暮らしの住まいを自分で定めなければならないこともあり、事前の準備が大切となる辞令といえるでしょう。

その単身赴任を前に決めておきたいのが、生活拠点をどこに置くかということです。生活拠点によって、住民票を移動させるべきか、しなくても済むかが分かれます。もしも拠点が従来のままであれば、住民票を異動しなくても問題がありません。反対に、拠点が赴任先に転じる場合、住民票を異動させたほうが無難でしょう。なお、単身赴任の引っ越しでは、次の条件に当てはまる場合、住民票の異動が不要とされます。

  • 転勤先での赴任期間が1年以内と決められているケース
  • 赴任期間が未定で生活の拠点が変わらないケース(定期的に元の家に帰省するなど)

早期に帰任する予定がある、あるいは仕事以外に赴任先に身を置くことがほとんどない、といった単身赴任では、住民票を異動しない方法も選択肢のひとつです。

赴任期間が長期におよぶ、あるいは生活の中心が赴任先になるケースでは、住民票の異動が推奨されます。住民票とはその人が現地に住んでいる確固たる証明書であり、住所地に持つことでさまざまな行政サービスや権利を享受できます。住民票がない状態は、それらのサービスや権利の恩恵を受けられないことを意味するのです。

なお、転居届や転出・転入届を出して完全に引っ越した場合は、住民票の異動手続きが不可欠であるためご注意ください。手続きを怠ると5万円以下の罰金を科せられるおそれがあります。いずれにしても、住民票を異動する・しないの判断は単身赴任の状況に合わせて賢く選ぶことが大切です。

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単身赴任で住民票を異動させるメリット・デメリット

単身赴任で住民票を異動させると、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、それぞれのケースの長所と短所を含めて、特徴をお伝えしていきます。

メリット

単身赴任先へ住民票を異動させると、居住している市区町村の役所で各種証明書の発行を行えます。具体的には、住民票の写しや住民票記載事項証明書などの証明書です。また、パスポートの取得や運転免許証の更新といった身分証明書の作成・更新手続きも、居住地で問題なく行えます。

引っ越し先の市区町村が独自に提供する、さまざまな行政サービスを利用できる点も大きなメリットです。各自治体は、子ども手当(児童手当)やリフォーム時の給付金など、各種支援制度を設けて住民の福祉と生活を支えています。美術館・動物園・博物館・体育館・スポーツジムといった公共施設の割引サービスも提供。地域の行政サービスを充実した生活のために役立てられます。

選挙の投票権取得も、住民票の異動で得られるメリットです。選挙権の取得は、住民票のある市区町村に3ヶ月以上居住することが条件です。住民票を異動させておけば、単身赴任期間中に選挙が実施された場合、わざわざ帰省する必要がなくなります。ただし、住民票がなくても不在者投票制度を活用すれば、自分の意思を選挙結果に反映させることは可能です。

上記のメリットを重視するなら、生活の拠点を移して住民票を異動させることをおすすめします。

デメリット

単身赴任で異動させた住民票は、帰任と同時に元の自治体に異動させる必要があります。役所の受付時間に足を運んで再度手続きをするとなると、忙しい方はデメリットを感じるのではないでしょうか。

前述したとおり、行政サービスは住民票のある自治体で受けられます。補助金の給付額や条件なども自治体により異なり、地域により充実度に差があるのが実情です。仮に支援の手厚い自治体からの転居となった場合、サポート面に物足りなさを感じるかもしれません。現在利用中の行政サービスについて考慮したうえで検討するのもひとつの手といえるでしょう。

また、納税は住民票が登録されている住所の市区町村で行うのが原則です。副業をしている方の場合、申告先が二重となることから、確定申告などの納税手続きが煩雑になる可能性があります。その点を踏まえると、確定申告が必要かどうかも住民票異動の判断基準になりそうです。

家屋敷課税が発生するかどうかも、見極めたいポイントのひとつといえます。家屋敷課税とは、事業所や事務所など仕事先の拠点がその市区町村にある場合、たとえ住所がなくても行政サービスを受けているとして一定の税負担が課される制度です。場合によっては二重課税に近い状況となるため、引っ越しにより家屋敷課税の対象になるどうか、管轄自治体に確認しておきましょう。

単身赴任で住民票を異動すると、実質的に住所が二つある状態となります。つまり、単身赴任先の住所地と残された家族が住む住所地、二つの地域で住民税がかかることになるわけです。納税先が増えると、一家の負担増が予想されます。単身赴任で住民票を異動するかどうか、税負担が増える面も考慮して検討したほうがよいでしょう。

単身赴任時に住民票を異動させる方法

単身赴任時に住民票を異動させる際は、現住所の世帯主を誰にするか決めておく必要があります。以下では、住民票の異動方法についてご説明します。

世帯主が夫、家族が妻と15歳以上の子どもの場合

子どもは15歳以上になると世帯主として据えることができます。住民票の異動手続きとともに、現住所の世帯主を妻もしくは子どものどちらにするかご検討ください。

まず、転出届を現在の住所の管轄役所に提出し、転出証明書を発行してもらいます。同時に、世帯変更届の提出も忘れずに行いましょう。赴任後、新しい住所の管轄役所に転入届を提出すれば、住民票の異動手続きは完了です。

◆転出届の提出はいつからいつまで?引っ越し後でも大丈夫?

手続きで必要となるものは、本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・健康保険証など)や印鑑など。転入するケースでは転出証明書も持参してください。代理人を立てて申請する場合は委任状が必要です。併せて、代理人本人の確認書類および印鑑も忘れずに持たせましょう。

なお、転入届と提出証明書の提出期限は、引っ越した日から14日以内です。期限に間に合うよう早めの準備を心がけてください。必要書類が不足すると二度手間になるため、事前にチェックをするなど対策を講じてミスを防ぎましょう。

引越れんらく帳なら、転出届の提出や転入(転居)届提出のための来庁予約、電気・ガス・水道などのライフラインの使用停止・開始、NHKの住所変更などをオンラインで手続きできます。複数の手続きを一括で申請できるほか、手続き漏れ防止のアラート機能も提供しています。引っ越しの際は、ぜひ引越れんらく帳をご活用ください。

世帯主が夫、家族が妻のみ(または妻と15歳未満の子ども)の場合

このケースで新しい世帯主となれるのは妻のみです。そのため、手続きは旧住所と新住所の管轄役所で行う住民票の異動に限られるなど、比較的簡素で済みます。必要書類は運転免許証などの本人確認書類と印鑑などです。代理人申請の場合は、委任状と代理人本人の確認書類が必須です。手続き時に必要書類の漏れがないよう、前日までに準備しておくことをおすすめします。

住民票の異動は、単身赴任の状況に合わせて賢く選択しよう!

単身赴任が決まったら、住民票の異動をするべきか、ご自身の状況に合わせてご検討ください。異動は原則として本人の自由ですが、長期にわたる赴任や生活拠点が完全に移行するケースでは、住民票の異動が必要です。赴任の期間と生活拠点の場所が判断のポイントとなります。

また、住民票の異動にはメリットもあればデメリットもあります。メリットとして挙げられるのは、「身分証明書の発行・作成・更新ができる」「行政独自のサービスが受けられる」「選挙権を取得できる」などです。その一方で、「税負担が二重にかかる」「行政サービスが質的にも量的にもマイナスに転じるおそれがある」「確定申告が必要な場合は手続きが煩雑になる」などのデメリットも見逃せません。メリット・デメリットを比べたうえで、ご自身やご家族にとって都合がよいほうをお選びください。

なお、世帯主が住民票を異動させる場合、現在の住所で新たに世帯主を決める必要があります。転出・転入届と同時に世帯主変更届の提出も忘れないようにしましょう。提出期限は引っ越しての日から14日以内と決まっているため、できるだけ早めの着手を心がけてください。

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