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引っ越し時、賃貸の退去費用の相場は?費用を抑える4つのコツも紹介

引っ越し時、賃貸の退去費用の相場は?費用を抑える4つのコツも紹介

賃貸物件からの引っ越しでは、荷造りや身辺整理だけでなく、退去費用の準備も必要です。現在住んでいる賃貸物件から退去する際には、「原状回復義務」とそれに伴う退去費用の支払いがあります。

この記事では、アパート・マンションなどの賃貸物件の退去費用の相場について解説します。できるだけ退去費用を抑えるためのポイントや退去費用が支払えないときの対処法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

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賃貸物件の退去費用とは?

退去費用とは、賃貸物件を退去するときに必要となる、原状回復やクリーニングなどの費用のことです。

退去する借主が原状回復の費用として支払うのは、原状回復に必要な費用の総額から、経年劣化と通常損傷分を差し引いた金額です。傷や汚れで交換や修繕が必要な設備があった場合でも、経年劣化によって価値が減少した分は支払う必要がありません。また、家主(大家さん)の負担でハウスクリーニングを行う場合もありますが、退去時に借主負担でクリーニングを行う旨が契約書に記載されている場合、借主の費用負担が発生します。また、退去時の部屋の状態によっては、追加で費用の負担を求められることもあります。

なお、原状回復やクリーニングの費用は、入居時に支払った敷金から差し引かれるのが一般的です。原状回復やクリーニングの費用が敷金を上回ればその分が追加請求されます。反対に、原状回復やクリーニングの費用を差し引いて余剰があれば、その分は返還されます。敷金なしの物件の場合は、原状回復やクリーニングに必要な費用を全額支払うことになるため、高額になりやすいので注意が必要です。

借主の過失や経年劣化・通常損耗の具体例については後で詳しく解説します。

原状回復義務とは?

原状回復義務とは、賃貸物件の借主が退去する際に、借主の過失や故意による物件の損傷を修繕・補償する義務のことです。

賃貸物件を借りたとき、借主には「原状回復義務」が生じます。国土交通省で「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が策定されており、借主は借りた物件を原状回復させるのにかかった費用を負担するのが決まりです。

借主は、「入居者の故意や過失、通常の使用を超えるような使用による損耗」については、回復させるために必要な費用を支払う必要があります。言い換えると、経年劣化や通常損傷による損耗は家主の負担となる部分で、借主に支払い義務はありません。

原状回復について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

◆賃貸物件における原状回復義務とは?貸し主、借り主の責任範囲を解説

退去費用の相場はどのぐらい?

賃貸物件の退去費用の相場は、物件の面積・間取りによって変動します。下の表は、間取り別に退去費用の相場をまとめたものです。ただし、居住年数や修繕の程度など、状況によってかなり変動がありますので、あくまで目安として参考にしてください。

間取り 退去費用(相場)
ワンルーム、1K (20㎡~30㎡) 15,000~30,000円
1DK, 1LDK (30㎡~50㎡) 20,000~40,000円
2DK, 2LDK (50㎡~70㎡) 30,000~50,000円
3DK, 3LDK (70㎡~90㎡) 50,000~60,000円
4DK, 4LDK (90㎡~) 90,000円~

補修箇所別の修繕費用の相場

修繕箇所別の費用相場は以下のとおりです。カビや水垢などの汚れの除去、床やクロスの張り替えといった原状回復の補修にかかる費用の目安にしてください。なお、業者や追加するオプションによって価格は変動します。

補修の箇所と内容 退去費用(相場)
浴室のカビ、水垢 5,000~20,000円
トイレのカビ、水垢 5,000~10,000円
キッチン周りの汚れ 15,000~25,000円
床材の汚れ 10,000~25,000円
サッシの汚れ 10,000~20,000円
壁や天井の下地ボード取り換え 20,000~60,000円
床材の張り替え(1枚当たり) 8,000~15,000円
クロスの張り替え(1m²あたり) 800~1,000円

また、原状回復の準備だけでなく、インターネットや電話料金、NHKの受信料など、日割り計算ができないサービスの手続きもなるべく早めに行っておくのがおすすめです。「引越れんらく帳」を使えば、こういったサービスの引っ越し手続きを一括で行うことができるので、ぜひお役立てください。

退去費用の決まり方

退去の際には、経年劣化や通常損傷による損耗分は負担する必要がなく、以下の費用を支払うことになります。

  • 設備修繕費のうち耐久年数の残り分の負担
  • 特約による設備修繕費の負担

退去の際に支払うことになる設備の修繕費用は、設備の耐用年数によって変わります。

耐用年数は設備ごとに異なり、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、流し台の耐用年数は5年、クロスは6年、木造建築のフローリングは22年と定められています。例えば、流し台の耐用年数は5年のため、2年半住むと価値が半減します。そのため、借主負担で交換する場合の費用は半額の負担で済むことになります。

ただし、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のほかに、物件ごとに特約が付くケースもあります。退去費用には特約の内容も含まれるため注意が必要です。例えば、契約書に「必ずクリーニング費用を徴収する」と記載されているケースや、和室のある物件では、畳やふすまの張り替えに関する特約が設けられているケースなどがあります。金額の上限などが定められているわけではないので、思わぬ出費とならないよう、契約の時点で特約の内容もあらかじめ確認しておきましょう。

経過年数ごとの原状回復費の計算

経過年数ごとの原状回復費について、借主の負担で交換や張り替えなどをする場合に必要となる費用の例をご紹介します。お住まいの住居の経過年数と照らし合わせて、参考にしてください。

設備・耐用年数 経過年数・状況例 借主の負担額
流し台:5年 ・入居時点で新品
・3年間入居
・交換費用5万円の場合
・耐用年数が5年なので、3年で退去すれば5分の3の価値が経年劣化で失われる
・支払義務があるのは5分の2
→借主の負担額は2万円
クロス:6年 ・入居時点で前回クロスを張り替えてから1年が経過
・2年間入居
・前面張り替え費用6万円の場合
・退去時点でクロスは合計3年間使用されている
・耐久年数が6年なので、クロスの価値は6分の3=2分の1が失われている
→借主の負担額は6万円の2分の1=3万円
フローリング:22年(木造建築の場合) ・入居時点で前回フローリングを張り替えてから6年が経過
・5年間入居
・全面張り替え費用10万円の場合
・退去時点でフローリングを張り替えてから11年経過
・耐用年数が22年なので価値は2分の1
・借主の負担額は10万円の2分の1=5万円
※フローリングの耐用年数は経過年数を考慮しませんが、床全体を張り替える場合には建物の耐用年数から負担割合を計算します。今回は木造建物の場合(耐用年数22年)で計算しています。

家主と借主のどちらが負担する?ケース別の区分基準

これまでお伝えしたとおり、賃貸物件を退去する際に設備などに損傷があった場合でも、その修繕費用の全額を借主が負担する必要はありません。普通に暮らしていて、「通常の使用で劣化・損傷する」と考えられる部分については、家主が負担することになります。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で定められている貸主と借主の負担区分は、以下のとおりです。

区分 内容 負担
A 賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの 貸主
B 賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの) 借主
A(+B) 基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの 借主
A(+G) 基本的にはAであるが、建物価値を増大(グレードアップ)させる要素が含まれているもの 貸主

経年劣化・通常損傷:家主が負担

経年劣化や通常損耗による損傷は、借主ではなく家主の負担となります。

具体的には以下のようなものです。

  • フローリング・畳・壁紙の日焼け
  • 家具の設置跡など、通常利用によるへこみや傷
  • 家電の裏にある電気焼け
  • 壁紙やポスター、時計の設置などによる軽度の穴

上記以外の入居者の過失・故意による損傷:借主が負担

借主の過失や故意により物件に傷や汚れがついてしまい、交換や修繕が必要になった場合は、借主の負担による原状回復義務が生じます。例えば、以下のようなケースは借主の負担になります。

  • 壁や床の水漏れが原因の腐食(部屋の水槽や植物、エアコンから漏れた水など)
  • クロスの傷や落書き
  • ひっかいたり、液体をこぼしたりしたことによるフローリング、畳、カーペットの傷や汚れ
  • タバコのヤニ汚れや臭い、焦げ跡
  • オイルや線香、香水などの臭い
  • ドア、障子、網戸の傷や破損
  • 飼っているペットが付けた汚れや傷

経年劣化・通常損耗による損傷か借主の過失による損傷かどうかは、人によって判断が異なるため、トラブルになることがあります。「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、損傷を修繕する場合の借主と貸主が負担する範囲が詳しく記載されています。判断が難しい場合は、ガイドラインに記載の区分を踏まえて考えるようにしましょう。

退去時に起こりやすいトラブル3選

退去時に起こりやすいトラブルとして挙げられるのは、以下の3つです。

  • 入居前からあった傷や汚れの修繕費を請求された
  • 敷金が返ってこなかった
  • 退去時のハウスクリーニング代として法外な金額を請求された

賃貸物件の退去時には、原状回復をめぐる費用に関するトラブルが起きやすいです。特に原状回復の費用は、貸主側の負担か借主側の負担かの判断が人によって分かれるため、トラブルにつながりやすくなります。

借主側に退去費用の基礎知識がなかったり、入居前の傷や汚れを自分でつけていない証拠がなかったりすると、気づかぬうちに本来の退去費用よりも高い金額を払わされてしまうこともあります。 また、本来退去費用が少額で済んだ場合には、敷金から差し引かれた余剰分は戻ってきます。敷金が戻ってこない場合には、貸主側の判断が適切か今一度確認しましょう。

あくまで借主側は、経年劣化や通常損耗による損傷分は負担する必要がなく、耐久年数の残り分の設備修繕費と特約の内容を退去費用として支払います。設備の経過年数や契約時の内容や特約、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などによく目を通し、不明点があればしっかり貸主側と話し合うことが大切です。

ここからは、こうしたトラブルを防ぎながら退去費用を抑えるポイントと、実際に高額な退去費用を請求された際の対処法を詳しく解説します。

退去費用を抑える4つのポイント!

さまざまな料金がかさむ引っ越し時には、できるだけ退去費用を抑えたいものです。ここでは、賃貸の退去費用を抑えるためのポイントをご紹介します。

契約内容と入居時に渡されるガイドラインをチェックしておく

ガイドラインや契約書など、入居時に渡される書類はきちんとチェックし、不明点・懸念点があれば事前に相談しておきましょう。書類には室内での喫煙やペットなど、禁止事項や注意事項が記載されていたり、借主の負担となる場合の具体例などが示されていたりします。知らずに禁止事項を行い高い退去費用を支払うことのないように、事前によく確認しましょう。

入居時の状態を撮影・記録しておく

入居時の状態を記録しておくこともおすすめです。もともとある傷や汚れは写真とメモに残して管理会社に提出し、控えを手元に保管しておきましょう。写真とメモがあれば、入居の時点であった傷や汚れなどに対して、自分の責任でないことを証明できます。身に覚えのない傷や汚れの修繕費を請求されるトラブルを防ぐためにも、入居時の状態を記録に残しましょう。

日頃から掃除を行っておく

日頃から掃除を行っておくことも大切です。こびりつきや蓄積による汚れは、日々の掃除で防止できます。退去前には、壁、クロス、床など自分で落とせる汚れはしっかりと落としましょう。自分で掃除できる部分は日ごろからきれいにすることで、退去時のクリーニング費用の負担を軽くできます。また、部屋の設備は丁寧に扱い、壊さないようしましょう。借主の過失による設備などの破損は、借主がその費用を負担することになります。

退去前にハウスクリーニングを依頼する

全体のハウスクリーニングは家主側が負担、もしくは特約に含まれていて請求されることも多いですが、追加作業を発生させないためにも、対応可能な部分は事前に自分で依頼するのもおすすめです。

ハウスクリーニングの料金相場は下の表の通りです。

間取り ハウスクリーニングの料金(相場)
1R~1K 30,000~40,000円
1LDK~2LDK 40,000~70,000円
3LDK 75,000~100,000円

また、退去費用を抑えるための対策と並行して、電気や水道、ガスといったライフライン、電話などの引っ越し手続きもなるべく早めに進めておきましょう。無料のWebサービス「引越れんらく帳」はこれらの手続きを一括して行うことができるので、大変便利です。ぜひこの機会にご利用ください。

退去費用を高額請求されたらどうする?払えないときの対処法

賃貸の退去費用が想定よりも高額となり、払えない場合はどうすればよいのでしょうか?対処法をご紹介します。

高額で払えない場合も踏み倒しはNG!

高額で支払いが困難な場合でも、踏み倒しは厳禁です。連帯保証人や緊急連絡先などに催促が来るほか、最悪の場合訴えられる可能性もあります。放置することはせず、管理会社や家主に連絡をとるようにしてください。

金額が適正か大家さんに確認・交渉をする

まず、自分が負担するべき費用を明確にしましょう。経年劣化・通常損耗については、借主はその費用を負担する必要はありません。もし、通常の使用を超える過失などで交換や修繕が必要となった場合も、経年劣化・通常損耗によって価値が減じた部分については、借主が負担する必要はありません。

経年劣化・通常損耗か、借主の負担かについては、個人の判断によって基準が異なることもあります。本来家主の負担する部分が、借主の負担となっている可能性も考えられます。家主に確認し、必要があれば交渉しましょう。

外部の窓口に相談する

外部の窓口に相談するのもおすすめです。消費者ホットラインや国民生活センター、弁護士などに相談して、適切な費用負担なのか確認してもらいましょう。家主との意見が食い違ってしまった場合などにも有効です。

賃貸物件の退去費用に関するQ&A

賃貸物件の退去費用に関するよくある質問についてお答えします。ここまでの内容のおさらいとして、確認しておきましょう。

敷金は返ってくるの?

家賃の滞納や故意・過失による損傷がなければ、敷金は返還されます。通常損耗や経年劣化による損傷は原状回復義務から除外されていますので、大切に部屋を使っていて借主が負担するべき修繕箇所がない場合には、敷金は返ってきます。もし修繕費が必要になったときにはまず敷金から支払われますが、ハウスクリーニング代を差し引いた分が戻ってきます。

敷金なし物件の場合、退去費用はどうなる?

敷金を払っていない場合、ハウスクリーニング代や修繕費は退去時にまとめて請求されます。敷金からの差引がなくなるため、退去費用は敷金なし物件のほうが高額になりやすいです。近年は入居時の敷金なしの物件も増えていますが、ハウスクリーニング代が割高に設定されていて、退去時の費用が相場よりかかることもありますのでご注意ください。

退去費用が0円で済むことはある?

借主が負担すべき故意、過失による損傷などが全くなく、契約時に特約が無ければ0円で済む場合もあります。契約時に、本来貸主が負担すべき内容の特約の削除交渉や、損耗が自身の故意、過失でないことを証明できるように記録を行うようにしましょう。また、解約通知書に不当な退去費用に関する内容が書かれている場合もあるため、隅々まで忘れずにチェックしましょう。

退去費用は分割払いできる?

基本的に退去費用は分割払いできず、一括払いで支払います。一括で支払えるように現金や口座振替などの準備をしておきましょう。どうしても支払えない場合には、管理会社に相談して、対応を相談するようにしてください。

きれいなのにクリーニング費が請求されたのはなぜ?

物件ごとの特約によって、故意・過失にかかわらずクリーニング費用を請求する旨が記載されているケースがあります。その場合、自主的にクリーニング等を行っていても、一律で費用が請求されます。また、和室のある物件では、畳の張替えやふすまの張替えの負担に関する特約が記載されていることもあります。クリーニング費用に疑問がある場合には、もう一度特約の内容を見返してみましょう。

「引越れんらく帳」ならインターネットやライフラインの手続きをまとめて一括申請!

賃貸物件を退去する際には、原状回復やクリーニングなどの費用の支払いが必要です。原状回復に必要な費用は、経年劣化・通常損耗による部分は差し引かれます。原状回復費の負担範囲が適切かどうか、きちんと確認してから支払いをするのがおすすめです。また、自分でできる範囲の掃除は事前に行っておくとクリーニング費用を抑えられますので、退去前に行いましょう。

引っ越しの際には、退去や荷物の移動だけでなく、電気や水道、ガスなどのライフライン、インターネットなど、さまざまな手続きも必要となります。「引越れんらく帳」を使えば、ライフラインやインターネットの手続きを一回の情報入力でまとめて行うことができます。

引っ越しまでの期間に応じて、必要な手続きをメールで知らせてくれるアラーム機能もありますので、忙しい時期の手続き漏れ防止にも役立ちます。登録は無料でスマホから24時間いつでも利用できますので、引っ越しの手続きにはぜひ「引越れんらく帳」をご活用ください。

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