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賃貸の退去費用の相場は?高額請求への対処法と費用を抑えるポイント

賃貸の退去費用の相場は?高額請求への対処法と費用を抑えるポイント

新居が決まり、「いよいよ引っ越し!」となれば、速やかに退去の準備を進める必要があります。賃貸物件から退去する際には、荷造りや身辺整理だけでなく、「原状回復義務」と、それに伴う退去費用の支払いをしなくてはなりません。
この記事では、アパート・マンションなどの賃貸物件の退去費用について解説します。原状回復費の解説や退去費用の相場、金額の内訳といった基礎知識から、できるだけ退去費用を抑えるためのポイントまで、詳しくご紹介します。賃貸物件からの引っ越しを控える方は、ぜひ参考にしてください。

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賃貸物件の退去費用とは?

退去費用とは賃貸物件を退去するときに必要となる、原状回復やクリーニングなどの費用のことです。

クリーニングに関しては、家主(大家さん)の負担でハウスクリーニングを行う場合もありますが、退去時に借主負担でクリーニングを行う旨が契約書に記載されている場合、それに従って費用の負担が発生します。また、退去時の部屋の状態によっては追加で費用の負担を求められることもあるので、注意が必要です。

原状回復やクリーニングの費用は、入居時に支払った敷金から差し引かれる形で支払うのが一般的です。原状回復やクリーニングの費用が敷金を上回ればその分が追加請求され、敷金から原状回復やクリーニングの費用を差し引いて余剰があれば、その分は返還されます。また、敷金なしの物件では、原状回復やクリーニングに必要な金額をそのまま支払うことになるため、費用が高額になりやすいです。

原状回復義務とは?

原状回復義務とは、賃貸物件の借主が退去する際に、借主の過失や故意による物件の損傷を修繕・補償する義務のことです。

賃貸物件を借りたとき、借主にはこの「原状回復義務」が生じます。国土交通省で「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が策定されており、借主はこれにもとづいて、借りた物件を原状回復させるのにかかった費用を負担します。

借主は、「入居者の故意や過失、通常の使用を超えるような使用による損耗」について、それを回復させるために必要な費用を支払う必要があります。言い換えると、借主には経年劣化や通常損傷による損耗に対しての支払い義務はなく、これは家主の負担となる部分です。

原状回復について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

◆賃貸物件における原状回復義務とは?貸し主、借り主の責任範囲を解説

退去費用の内訳

借主が原状回復の費用として支払うのは、原状回復に必要な費用の総額から、経年劣化と通常損傷分を差し引いた金額です。つまり、通常の使用を超える傷や汚れがあり、交換や修繕が必要な設備があった場合も、経年劣化によって価値が減少した分は支払う必要がありません。

借主の過失や経年劣化・通常損耗の具体例については後で詳しく解説します。

修繕費用の内訳

退去費用の決まり方

退去の際には以下のような費用を負担することになります。

  • 設備修繕費のうち耐久年数の残り分の負担
  • 特約による設備修繕費の負担

退去の際に支払うことになる設備の修繕費用は、設備の耐用年数によって変わります。

耐用年数は設備ごとに決められており、例えば流し台の耐用年数は5年、クロスの耐用年数は6年、といった具合で定められています。また、フローリングや畳表など「経過年数を考慮しない」、と定められているものもあります。

例えば、流し台の耐用年数は5年なので、2年半住むと価値が半減します。そのため、借主負担で交換する場合の費用も半額の負担で済む、というわけです。

ただし、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のほかに、物件ごとに特約が付くケースもあるので注意しておきましょう。

具体的には、契約書に必ずクリーニング費用を徴収する旨が記載されているケースや、和室のある物件では、畳やふすまの張り替えに関する特約が設けられているケースなどがあります。金額に関しては定められた基準がないので、思わぬ出費とならないよう、契約の時点であらかじめ確認しておきましょう。

敷金は返ってくるの?

敷金とは、賃貸物件を借りるときに、貸主に担保として預けておく金銭のことです。

賃貸物件の貸主は、家賃の延滞料や原状回復義務による修繕費を、敷金から弁済に充てることができます。

近年は敷金ゼロの物件も増えていますが、敷金がある物件では、原状回復義務による修繕費が必要になったとき、まず敷金から支払われます。

先に解説した通り、借主に過失がなければ、家財の修繕費用は家主が負担することになりますので、大切に部屋を使っていれば敷金は返ってきます。

2020年4月1日施行の民法621条により、通常損耗や経年劣化による損傷が、原状回復義務から除外されることが明文化され、家賃の滞納や故意・過失による損傷がなければ、敷金は返還されることが明確になりました。

退去費用の相場【間取り別】

下の表は、間取り別に退去費用の相場をまとめたものです。ただし、前述のように状況によってかなり変動がありますので、あくまで目安として参考にしてください。

間取り 退去費用(相場)
ワンルーム、1K 15,000~30,000円
1DK, 1LDK 20,000~40,000円
2DK, 2LDK 30,000~50,000円
3DK, 3LDK 50,000~60,000円
4DK, 4LDK 90,000円~

経過年数ごとの原状回復費の計算

経過年数ごとの原状回復費について、借主の負担で交換や張り替えなどをする場合に必要となる費用の例をご紹介します。お住まいの住居の経過年数と照らし合わせて、参考にしてください。

部位 耐用年数 経過年数・状況例 借主の負担額
流し台 5年 ・入居時点で新品、その後3年間入居
・交換費用5万円の場合
耐用年数が5年なので、3年で退去すれば5分の3の価値が経年劣化で失われ、5分の2が残っていると考えます。よって、これを交換する場合、借主の負担額は2万円です。
クロス 6年 ・入居時点で前回クロスを張り替えてから1年が経過、その後2年間入居
・前面張り替え費用6万円の場合
退去時点でクロスは合計3年間使用されています。耐久年数が6年なので、クロスの価値は6分の3、つまり2分の1が失われていると考えます。残っている価値も2分の1なので、借主の負担額は6万円の2分の1=3万円です。
フローリング 22年
(木造建築)
・入居時点で前回フローリングを張り替えてから6年が経過、その後5年間入居
・全面張り替え費用10万円の場合
退去時点でフローリングを張り替えてから11年経過しており、耐用年数が22年なので価値は2分の1残っていると考えます。そのため、これを張り替える場合、借主の負担額は10万円の2分の1=5万円です。
*フローリングの耐用年数は経過年数を考慮しませんが、床全体を張り替える場合には建物の耐用年数から負担割合を計算します。今回は木造建物の場合(耐用年数22年)で計算しています。

原状回復の補修にかかる費用の相場

カビや水垢などの汚れの除去、床やクロスの張り替えといった原状回復の補修にかかる修繕費の相場は、下の表の通りです。業者や追加するオプションによって価格は変動しますが、目安にしてください。

補修の箇所と内容 補修費用(相場)
浴室のカビ、水垢 5,000~20,000円
トイレのカビ、水垢 5,000~10,000円
キッチン周りの汚れ 15,000~25,000円
床材の汚れ 10,000~25,000円
サッシの汚れ 10,000~20,000円
壁や天井の下地ボード取り換え 20,000~60,000円
床材の張り替え(1枚当たり) 8,000~15,000円
クロスの張り替え(1m²あたり) 800~1,000円

また、原状回復だけでなく、インターネットや電話、通販、NHKなど、日割り計算ができないサービスの手続きもなるべく早めに行っておくのがおすすめです。「引越れんらく帳」はこういったサービスの手続きを一括で行うことができるので、ぜひお役立てください。

家主と借主、どちらが負担する?原状回復義務の区分基準

賃貸物件を退去する際に、部屋の設備などに損傷があった場合でも、その修繕費用の全額を借主が負担する必要はありません。普通に暮らしていて、「通常の使用で劣化・損傷する」と考えられる部分については、家主が負担することになります。
これを「経年劣化・通常損耗」といいます。

ここからは、原状回復義務における負担区分について解説します。

経年劣化・通常損傷:家主が負担

経年劣化や通常損耗による損傷は、借主ではなく家主の負担となります。

具体的には以下のようなものです。

  • フローリング・畳・壁紙の日焼け
  • 家具の設置跡など、通常利用によるへこみや傷
  • 家電の裏にある電気焼け
  • 壁紙やポスター、時計の設置などによる軽度の穴

上記以外の入居者の過失・故意による損傷:借主が負担

借主の過失や故意により物件に傷や汚れがついてしまい、交換や修繕が必要になった場合は、借主の負担による原状回復義務が生じます。

例えば、以下のようなケースは借主の負担になります。

  • 壁や床の水漏れが原因の腐食(部屋の水槽や植物、エアコンから漏れた水など)
  • クロスの傷や落書き
  • ひっかいたり、液体をこぼしたりしたことによるフローリング、畳、カーペットの傷や汚れ
  • タバコのヤニ汚れや臭い、焦げ跡
  • オイルや線香、香水などの臭い
  • ドア、障子、網戸の傷や破損
  • 飼っているペットが付けた汚れや傷

経年劣化・通常損耗による損傷か、借主の過失による損傷かどうかは、人によって判断が異なるため、トラブルになることがあります。「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、損傷を修繕する場合の、借主と貸主が負担する範囲について詳しく記載されています。判断が難しい場合は、このガイドラインに記載の区分を踏まえて考えるようにしましょう。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿って区分する

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、家主が負担をする場合と借主が負担をする場合について、次の4区分に分けて示しています。

区分 内容 負担
A 賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても、発生すると考えられるもの 貸主
B 賃借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの) 借主
A(+B) 基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの 借主
A(+G) 基本的にはAであるが、建物価値を増大(グレードアップ)させる要素が含まれているもの 貸主

退去費用を抑える4つのポイント!

さまざまな料金がかさむ引っ越し時には、できるだけ退去費用を抑えたいものです。ここでは、賃貸の退去費用を抑えるためのポイントをご紹介します。

契約内容と入居時に渡されるガイドラインをチェックしておく

ガイドラインや契約書など、入居時に渡される書類をきちんとチェックし、不明点・懸念点があれば事前に相談しておきましょう。室内での喫煙やペットなど、禁止事項や注意事項が記載されていたり、借主の負担となる場合の具体例などが示されていたりするので、よく確認しておくのがおすすめです。

入居時の状態を撮影・記録しておく

入居時の状態を記録しておくこともおすすめです。もともとある傷や汚れは写真とメモに残して管理会社に提出し、控えを手元に保管しておきましょう。こうしておけば、入居の時点であった傷や汚れなどに対して、自分の責任でないことを証明できます。

日頃から掃除を行っておく

日頃から掃除を行っておくことも大切です。こびりつきや蓄積による汚れは、日々の掃除で防止できます。退去前には、壁、クロス、床など自分で落とせる汚れはしっかりと落としておきましょう。こうすることで、クリーニング費用などの負担を軽くできます。

また、部屋の設備は丁寧に扱い、壊さないようしましょう。借主の過失による設備などの破損は、借主がその費用を負担することになります。

退去前にハウスクリーニングを依頼する

全体のハウスクリーニングは家主側が負担、もしくは特約に含まれていて請求されることも多いですが、追加作業を発生させないためにも、対応可能な部分は事前に自分で依頼しておくのもおすすめです。

ハウスクリーニングの料金相場は下の表の通りです。

間取り ハウスクリーニングの料金(相場)
1R~1K 30,000~40,000円
1LDK~2LDK 40,000~70,000円
3LDK 75,000~100,000円

また、退去費用を抑えるための対策と並行して、電気や水道、ガスといったライフライン、電話などの手続きもなるべく早めに進めておきましょう。引越れんらく帳はそれらの手続きを一括して行うことができるので、大変便利です。ぜひこの機会にご利用ください。

退去費用を高額請求されたら?払えないときの対処法

賃貸の退去費用が想定よりも高額となり、払えない場合はどうすればよいのでしょうか?対処法をご紹介します。

高額で払えない場合も、踏み倒しはNG!

高額で支払いが困難な場合でも、踏み倒しは厳禁です。連帯保証人や緊急連絡先などに催促が来るほか、訴えられる可能性もあります。

金額が適正か、大家さんに確認・交渉をする

まず、自分が負担するべき費用を明確にしましょう。経年劣化・通常損耗については、借主はその費用を負担する必要はありません。もし、通常の使用を超える過失などで交換や修繕が必要となった場合も、経年劣化・通常損耗によって価値が減じた部分については、借主が負担する必要はありません。

経年劣化・通常損耗か、借主の負担かについては、個人の判断によって基準が異なることもあります。本来家主の負担する部分が、借主の負担となっている可能性も考えられます。家主に確認し、必要があれば交渉しましょう。

外部の窓口に相談する

外部の窓口に相談するのもおすすめです。消費者ホットラインや国民生活センター、弁護士などに相談して、適切な費用負担なのか確認してもらいましょう。家主との意見が食い違ってしまった場合などにも有効です。

「引越れんらく帳」ならインターネットやライフラインの手続きをまとめて一括申請!

退去費用とは、賃貸物件を退去する際に必要となる、原状回復やクリーニングなどの費用のことです。原状回復に必要な費用は、経年劣化・通常損耗による部分は借主が負担する必要はありません。通常の使用を超える傷や汚れなどで借主に負担が発生した場合でも、経年劣化・通常損耗による部分は差し引かれます。個人によって判断が異なる場合もあるので、原状回復費が適切かどうか、きちんと確認することがおすすめです。

引っ越しの際には、退去や荷物の移動だけでなく、電気や水道、ガスなどのライフライン、インターネットなど、さまざまな手続きが必要となります。引越れんらく帳を使えば、これらの手続きを一回の入力でまとめて行うことができます。

さらに、引っ越しまでの期間に応じて、必要な手続きをメールで知らせてくれるアラーム機能もありますので、忙しい時期でも手続き漏れを防止できます。引っ越しの手続きには、ぜひ「引越れんらく帳」をご活用ください。

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