引っ越し時のピアノ運送方法は？費用や業者選びのポイントを解説

引っ越し時、ピアノ運送はどこに頼む？

ピアノは190〜420kgの重さがあり、自力で運ぶのは困難です。非常に繊細な楽器であるため、引っ越し時はピアノ運送専門の業者や引っ越し業者に運送を依頼します。運送費用はピアノの種類や、運送距離など条件によって大きく変わります。見積もりを依頼する際は、ピアノの種類や住居の階数、エレベーターの仕様（最大積載量やドアの開き方）などを詳細に伝えることが重要です。

次の表は、ピアノ運送を依頼したときの専門業者・引っ越し業者のメリットとデメリットです。

パソコンや楽器などの精密機器輸送に関しては「精密機器の輸送方法。エアサス対応の運送会社や料金プランを紹介！」をご覧ください。

ピアノ運送の専門業者

ピアノ運送の専門業者へ依頼が一般的です。ピアノの取り扱いに慣れた経験豊富なスタッフが担当するため、安心して任せられます。運搬と同時にクリーニングや調律が可能な業者もあり、引っ越しのタイミングでピアノのケアをまとめてできることもメリットです。しかし、専門的であるため業者が少なく比較検討が難しい場合があります。また、引っ越し業者とは別に依頼する必要があり、見積もりやスケジュール調整などで打ち合わせする手間や労力がかかります。専門業者に依頼した際の費用相場は後述の「ピアノ運送にかかる費用と内訳」をご覧ください。

引っ越し業者

有料オプションで、ピアノの運送サービスを提供する引っ越し業者もあります。荷物の運搬に関わる窓口を一本化できるため、ほかの荷物とまとめて見積もりや搬出入ができます。しかし、専門業者より割高になる傾向があり、引っ越し業者に依頼しても、実際の運搬は提携する専門業者というケースもあります。どこが運搬を行うのか把握しておきたい場合は事前に確認しましょう。

引っ越しでは、荷造りに多くの時間と労力がかかります。忙しいと事務手続きを後回しにしがちですが、ライフラインの住所変更などは早めに終わらせるのがおすすめです。手続きの一本化には、「引越れんらく帳」がおすすめです。電気・ガス・水道などの面倒な手続きをインターネット上で24時間いつでも行えます。手続きや作業の漏れをなくしてスムーズに引っ越すために、ぜひご活用ください。

ピアノ運送にかかる費用と内訳

専門業者にピアノの運送を依頼した場合の費用は、基本運送料金＋作業料金の合計額です。作業料金は業者ごとに異なり、ピアノの種類や搬出入の状況などによっても変動します。

一例として、関西エリアでピアノ運送業を行っているコタニピアノ工房の運送費用を紹介します。こちらはあくまで一例で、距離だけでなく搬出・搬入先の状況によって費用は大きく変わるので参考程度にご覧ください。

出典：コタニピアノ工房（調律料10,000円を含む税抜き価格）

条件によって下記のオプション料金が追加されます。

出典：コタニピアノ工房（大阪もしくは大阪近郊・営業圏内の税抜料金）

引っ越しの移動距離

ピアノ運送の基本料金は、通常の引っ越しと同様に旧居から新居までの距離で決まります。50km未満は10km単位で金額が変動し、50km以上は20km単位で変動する業者が多いです。

ピアノの種類

サイズが小さく軽いアップライトピアノは、運ぶ人数やオプションが少ないため、比較的安価で運送できます。一方、大きくて重いグランドピアノは、形状が複雑なことや、運ぶ際の人数も多く、運送にコストがかかるため高額になる傾向です。また、ピアノの種類が同じでもメーカーや型番によって重さや仕様などが変わります。そのため、見積もり時に種類だけでなく型番も伝えると、より正確な金額が算出されやすくなります。

特殊作業の有無

ピアノの搬出入経路次第では、クレーン車での吊り上げやピアノの解体など特殊作業が必要です。手間や時間がかかるため、特殊作業が必要な運送は費用が高額になるケースが多いです。また、エレベーターの有無や階段の段数によって金額が変わることがあるため、事前にしっかりと伝え見積もりをしてもらうことが重要です。

調律やクリーニング

ピアノを移動させた後は調律やクリーニングが必要です。運送と合わせて調律やクリーニングを依頼する場合は、オプション料金がかかります。調律は移動後すぐ行う必要はなく、引っ越し後に落ち着いてから改めて楽器店に依頼しても問題ありません。調律の必要性については後述の「ピアノ運送の前後にやること」で詳しく解説します。

こうした専門性の高い荷物を運びだす際には、気をかけることや事前に検討することも多く疲弊しがちです。他のタスクをできるだけスムーズに完了させたい時には、「引越れんらく帳」が便利です。引越れんらく帳は一度の情報入力で、電気・ガス・水道のライフラインやインターネットなどの住所変更手続きをまとめて行えるサービスです。引っ越しの手間を削減したい方は、ぜひ引越れんらく帳をご活用ください。

ピアノ運送業者を選ぶポイント

次に、ピアノ運送業者を選ぶ際の判断基準について解説します。

業者の提案力

依頼時の疑問に対する回答や提案内容は、運搬業者の経験値や技術力の高さを判断するうえでの指針になります。依頼者に寄り添うような提案ができる業者は信頼度が高く、安心して大切なピアノを任せられるでしょう。複数の業者で見積もりをとる場合は、同じ質問をしたときの回答を比較し、検討材料にするのもおすすめです。

使用車両や道具の種類

車両や道具の種類は確認しておきたいポイントです。ピアノの種類や運搬経路に応じた車両や道具を保有していることは、専門性を示す重要な要素になります。直接質問して確認する以外にも公式サイトに掲載された事例紹介からでも確認できる場合があります。

オプションの有無

ピアノ運送業者を選ぶ際は、オプションサービスの有無や金額も判断材料にしましょう。特に調律はピアノ運搬後に必要なため、まとめて依頼できると個別に依頼する手間が省けます。ピアノは高価なので、万が一の事故やトラブルに備えて保証内容についても十分に確認するとよいでしょう。また、雨天時の対応もチェックしたいポイントです。

【地域別】ピアノ運送業者をご紹介

おすすめのピアノ運送業者を全国、関東、関西、九州・沖縄のエリアごとに紹介します。

全国

全国に対応しているピアノ運送業者をご紹介します。

ピアノ運送株式会社

ピアノ運送株式会社は、1910年に創業した100年以上の歴史と経験をもつピアノ運送の老舗です。全国13か所にある拠点を利用して、家庭からコンサートホールまで日本全国の幅広いピアノ運送に対応しており、ヤマハ株式会社が指定する認定業者でもあります。

日本ピアノ運輸

日本ピアノ運輸は、ピアノの運送、調律・クリーニングに半世紀の歴史と100万台の運送実績がある運送業者です。日本全国でピアノの引っ越しおよび室内移動に対応しています。

東京ピアノ運送

東京ピアノ運送は、ピアノ運送をはじめ医療機器など精密機械や重量物の全国輸送を行っています。輸送時の振動を大幅に軽減するエアサス（エアーサスペンション）搭載車を配備しているのもポイントです。

関東エリア

続いて、関東エリアに対応しているピアノ運送業者をご紹介します。

康平運送株式会社

康平運送株式会社は、神奈川県と東京23区を中心にピアノの運送と修理や調律などの保守サービスを行っています。対応エリアは首都圏が中心ですが、全国への運送も可能です。

共立ラインサービス

共立ラインサービスは、1969年創業の楽器専門の運送会社です。空調車の利用が可能なほか、運送時の養生（キルティングやカバーなど）にも厚みのある特注品を使用し、運送品質を高めています。

関西エリア

続いて、関西エリアに対応しているピアノ運送業者をご紹介します。

株式会社立明

株式会社立明は、大阪で長年ピアノ運送に携わってきた専門業者です。豊富な経験と技術をもち、ピアノ運送のみならず調律やクリーニング、修理などメンテナンスにも幅広く対応しています。

コタニピアノ工房

コタニピアノ工房は、大阪・関西エリアでピアノの運送から調律、クリーニング、修理、ピアノリサイクルまで手がけています。また、消音ユニットの取り付けサービスがあるのも特徴です。

九州・沖縄エリア

続いて、九州・沖縄エリアに対応しているピアノ運送業者をご紹介します。

ピアノターミナル・ナカムラ

ピアノターミナル・ナカムラは1952年に創業し、九州・沖縄地方のピアノ運送に豊富な経験と実績をもちます。ヤマハ株式会社と60年以上にわたる取引があり、ヤマハ株式会社の認定業者に指定されています。

カスガ引越サービス

カスガ引越サービスは、福岡で運送業を行う地域密着型の運送会社です。ピアノ運送だけでなく、単身者の引っ越しや重量物の輸送を行っており、エリアをしぼることで低価格を実現しています。

ピアノ運送の前後にやること

ピアノの運送は、事前準備や引っ越し後のケアが必要です。運送前後でやるべきことをご紹介します。

搬出前：運搬経路や設置場所の確認

業者への見積もり依頼前に、旧居と新居の搬出入経路を確認します。エレベーターの有無や玄関からの搬出入が可能かなどを確認しましょう。事前に確認した内容を業者と共有すると見積もりがスムーズに進みます。設置場所によっては、経路や搬出入方法が変わるため、新居でピアノを設置する部屋も見積もり前に決めておきましょう。

設置後にピアノを自力で移動させることは困難なため、事前にピアノを設置する場所は確認しておきましょう。直射日光が当たらないか、結露しないかなど実際部屋に行き確認しておくとより安心です。

搬入後：調律

ピアノを新居へ運んだら調律が必要です。ピアノは移動時の振動や衝撃により弦が緩んだり内部の部品が外れたりして、正しい音が出せなくなることがあります。部屋の環境が変わることでも音が変わるため、引っ越し後は必ず調律しましょう。また、ピアノの木材や弦が部屋の環境に馴染むのに、一定の期間が必要なので搬入直後の調律はおすすめできません。搬入後、1週間〜1か月を目安にするとよいでしょう。また、調律はピアノの音程を整えるだけでなく、弦への余分な負荷を抑え、ピアノの寿命を伸ばすことにも繋がります。

調律にかかる時間はピアノの種類や状態によって異なりますが、1〜3時間が目安です。

引っ越し前後は、荷物運搬手配のほかにもライフラインの住所変更や役所手続きが必要です。無料で使える「引越れんらく帳では、インターネットから複数の手続きを一括で行えます。24時間いつでも登録でき、引っ越し準備のすきま時間を上手に活用できることもメリットです。引っ越しの際はぜひ引越れんらく帳をご活用ください。

ピアノを手放したい場合は？

引っ越しに伴いピアノを手放す場合は、以下の選択肢があります。

• 買取業者に依頼する
• 自治体や不用品回収業者に回収してもらう
• フリマサイトを利用する

ピアノの状態が良ければ、買取業者やフリマサイトで販売できます。買取業者は自宅まで来てくれる出張買取が多いため自分で移動させる手間がかかりません。フリマサイトは希望価格で譲渡できますが、買い手が見つかるまでに時間がかかる可能性があります。

ピアノを処分する場合は、自治体で実施されている粗大ゴミ回収が利用できるか確認します。回収の可否は自治体ごとに異なるので、問い合わせてみてください。不用品回収業者やリサイクル業者への依頼も一つの方法です。不用品処分については「引っ越しで不用品処分する方法は？引っ越し業者や回収業者の特徴を解説！」をご覧ください。

引っ越し時のピアノ運送は業者に依頼しよう！

ピアノは重くデリケートなので移動させるときは専門の業者または引っ越し業者依頼が一般的です。どちらもメリット・デメリットがあるので、予算や条件に合わせて選択しましょう。専門業者を選ぶ際は、提案力や保有している道具の種類、オプションの有無などの確認がポイントです。

引っ越しは荷物の移動だけでなく各種ライフラインの住所変更なども必要です。「引越れんらく帳」は一度の入力で電気・水道・ガスなどの手続きをまとめて行えるサービスです。同じ情報を何度も入力する必要が無く、アラート機能を利用すれば手続きの抜けや漏れの心配もありません。ぜひ引越れんらく帳の活用をご検討ください。